1990年代後半、ドットコムバブルの頃にWebvanという会社が
生鮮品のオンラインショッピングサービスを提供、
Webvanの特徴ある軽トラックをシリコンバレーで多く見かけたが、事業モデルの失敗から撤退。
その後、多くの商品がオンラインショッピングで購入されている中、
生鮮品のオンラインショッピングはなかなか根付かなかった。
そのような環境の中、Amazon.comがグローサリーオンラインショッピングの
”AmazonFresh” をたちあげたのは2007年。
Amazon本社のあるシアトル近郊で試験的にサービスを開始後、
基本的に大都市をターゲットにして、
現在ではロスアンゼルス、サンフランシスコ、
サンディエゴ、ニューヨーク、フィラデルフィア等で展開し、
ようやく生鮮品のオンラインショッピングが普及する傾向が見えるようになってきた。
AmazonFreshの年間会員費は、299ドル(約36,000円)。
AmazonPrimeの年間会員費が99ドルなので、追加200ドルはかなり高い印象を受ける。
が、朝10時までに注文したものはその日の夕方6時までに配達、
夜10時までに注文したものは翌朝午前6時前に配達してくれる。
送料は50ドル以上の注文で無料となる。
また、トライアルキャンペーンとして最初の30日間は無料で利用できる。
生鮮品を始め日用品も含む約50万アイテムの購入が可能で、
さらにローカルのレストランやショップと提携し
AmzonFreshの注文と一緒に配達するサービスも行っている。
AmazonFreshのトラック(AmzonFreshのホームページより抜粋)
便利なサービスではあるが、この年会費の高さに抵抗を感じる消費者は多いのではなかろうか。
実は、この分野で違うモデルも台頭してきている。
サンフランシスコに本社のあるInstacartは、買物代行兼当日宅配サービスを
全米18州の都市およびワシントンDCでサービスを展開。
Whole Foods、Costco、Safewayなど大手小売業等との提携により、
AmazonFresh同様約50万アイテムを提供している。
Instacartの専用appから注文された商品をスタッフである”パーソナルショッパー”が
買い物して、注文者に宅配するシステムをとっている。
配達料金は、35ドル以上の注文で、2時間以内の配達が3.99ドル、
1時間以内の配達が5.99ドルとなっている。
また、混雑する配達時間帯では別途”Busy Pricing”なるものが設けられており、
追加料金が発生する。
他に、年会費99ドルの”Instacart Express Members”もあり、
こちらは35ドル以上の注文で配達費用無料かつBusy Pricingがかからない。
配達時間は午前9時から深夜までとなっている。
生鮮食料品のオンラインショッピングを自社で完結するには、
価格設定の自由度がある反面、鮮度の観点から在庫管理や配達等考慮すべき点も多い。
自社の巨大倉庫から自社トラックで宅配するAmazonFresh、
ショッピング代行のInstacart、両モデルとも一長一短はあるが、
生鮮品のオンラインショッピングの定着はすぐそこまで来ている感がある。