洋服を買う際、女性のほうが多分に男性よりも時間をかけ、じっくり比較検討し、友達などの意見を確認したたうえで買うことが多いと思う。
その意味でも、ファッション業界にとっては、女性が購買を決定するためのサービスは重要な要素の一つとなる。
彼女たちが店舗で衣服を選ぶとき、何種類もの洋服を試着室へ持ち込み、いろいろな方向から鏡に映った自分の姿を見て、色を決め、ときには自分ではどれにするか決めかね、スマートフォンで撮った写真をその場で友人や家族に送って第三者の意見を求めたりすることもあるだろう。
もしくは、結局決めることができず、家で写真を見ながら再度じっくり検討する方も多いかもしれない。
だがこれらの写真は、大概ほとんどが前方向のものばかりのもので、後方からはどのように見えているのかわからず、もう一度店舗に行って試着なんてこともあるかもしれない。
オンラインショップで例えるならば、ショッピングカートに入れたまま購入しない状況に近い感じで、ブランドにとっては機会損失ともなりかねない。
これらを解決すべくサービスとして最近特に話題になっているのが、”Memory Mirror”である。
シリコンバレーで2年前にスタートアップしたMemoMiという会社が、インテルのテクノロジーを活用して開発したこのMemory Mirrorは、高さが約180cmのミラーに見立てたスクリーンの上にカメラを装着したもので、消費者の試着イメージをデジタル的にサポートする。
撮影したイメージはミラー上に表示され、ミラーに向かってハンドジェスチャー、横に設置された小型モニターから見たいイメージを選べる。
回転しながら撮影すれば360度からのイメージを見ることができるので、普段できない真後ろからのイメージ確認ができるのが大きな特徴となっている。
さらに、試着した何枚かの衣服の比較、自分に合った色の選択なども容易にできる。
撮影した写真やビデオは、Eメール、Facebook、スナップチャットなどで共有もできる。
もちろん撮影したイメージは、その場で削除できる。
Memory Mirrorは、今のところ高級デパートNeiman Marcusのサンフランシスコ店をはじめとする3店舗のみに設置されている。同デパートでは、デジタルイメージを消費者に提供することにより、個人の許可を受けたうえで年齢、ボディーサイズ、好みのスタイルなどのデーターをもとに、新商品の紹介などパーソナライズしたEメールの活用にも期待している。
実はこのMemory Mirrorは、日本でも話題になったらしいので、すでにご存知の人もいるかもしれない。
2015年7月に東京で開催された、ファッションとテクノロジーの融合に関する世界的イベントの一環で行われた”ザ・イセタン・チャレンジ”にて、Memory Mirrorが優勝、三越伊勢丹新宿店で9月1日まで展示されていた。
(各イメージは、CNBC、Neiman Marcus、Memomiのウェブページより抜粋)