EメールマーケティングプロバイダーのLitmusが、消費者やマーケティング担当者への調査データ、ESP、コンサルタント会社、アメリカ内外の研究機関等20人の専門家の意見をもとに、Eメールの将来のビジョンなどをレポートした”Email Marketing in 2020”によると、消費者が10年後に存在しているだろうと考えているチャネルは次のようになっている。
現在、企業と消費者をつなぐチャネルとして重要な位置づけとして考えられているEメールは、10年後も70パーセントと高い比率を保っている。
ストリーミングビデオが普及してきている中、10年後もケーブルTVが存続すると考えている割合が3分の2もいるのは少々驚きだが、郵便、印刷メディア、固定電話のようなサービスがそれほど高い数字でないのは納得がいく。
次に、Eメールが10年後も存続していると考える消費者を年齢別にみると次のようになっており、25歳から34歳の年齢層が一番高い。ちょうどミレニアル世代と呼ばれるこの年齢層は、よりリアルタイムでパーソナライズされたコミュニケーションを望む世代とも言われ、今後Eメールでもよりリアルタイム性、パーソナライズ性が重視されてくると思われる。
- – 18-24歳: 68.9パーセント
- – 25-34歳: 72.1パーセント
- – 35-44歳: 70.8パーセント
- – 45-54歳: 71.7パーセント
- – 55-64歳: 68.4パーセント
- – 65歳以上: 64.9パーセント
専門家による予想として、機械学習とビッグデータの活用がどんどん進化している中、顧客が何を望んでいるかをより正確に予測できるようになり、Eメールは次のような形で進化していくと考えられる。
たとえば、日曜日の午後、野球の大リーグでお気に入りのチームがプレーしている場合、スポーツニュースサイトからこのチームに関する写真等が送信され、受信ボックスのトップに配置される。
直後に、地元のオーガニック食料品店に行くと、オーガニック商品のクーポンメールが送信され、受信ボックスの上位にシームレスに切り替わって配置される。
ここでは、この消費者の行動データや位置情報などに基づき、メールリーダーがコンテキストを手がかりに、その時点でのニーズに基づく情報を優先的に提供する。
こうなると、消費者はこの優れた顧客経験により、自発的に情報をさらに提供するようになっていくであろう。
機械学習は、Eメールコンテンツの作成と送信に大きな役割を果たし、コンテンツの予測分析、複雑なデータセットのパターンの発見、より高度なデータ分析により、Eメールの大部分が自動化され、コンテンツが機械的に作成されると多くの専門家は予想している。
さらに、今後はより広い意味で、デジタル統合マーケティングコミュニケーション(IMC -“Integrated Marketing Communication”)の時代が到来すると予測されている。
適切な顧客経験を、適切なユーザーに、適切なタイミングで、適切なチャネルにて提供する一貫性のある人間中心のアプローチにより、顧客はチャネルを越えた真に関連性の高い経験を享受できるようになることであろう。