1年ほど前のレポートにて、Direct to Consumerビジネス (消費者直結ビジネス -D2CもしくはDTC)のブランドは、Eコマースに加えて実店舗への展開も進めていることをご紹介したが、その動きは継続している。
現在、D2Cブランドの数は400を超えると推定されており、過去2年間で全体のウェブトラフィックが約2倍になり、
またインターネットユーザーが次の5年間でD2Cから商品を購入すると思われる割合を表した上のグラフにあるとおり、回答者全体の4割が購入割合40パーセント以上となるほど成長を続けている。
(Diffusion, “2018 Direct-to-consumer Purchase Intent Index”より、
2018年8月の調査より)
これらD2Cブランドは、今までFacebookやInstagramを活用したオーディエンスのターゲッティング、急成長しているポッドキャストでの広告によるダイレクトコンバージョンの促進など、デジタル広告戦略に依存し、オンラインの顧客ベースを確立してきた。
今後の展開として、デジタルネイティブの基盤に加え、ポップアップ、ショールーム、本格的な実店舗の形で物理的な店舗の構築を進める第二段階に入っていると言える。
Appleが大きく成長した背景にはAppleストアの存在は大きく、実際に商品にふれて、試してみるという”商品体験”をふまえ、その場で購入しなくても別途オンラインで購入する消費者は多い。
これにより、オンラインで購入する際の障壁の一つとなっている、商品への不安感が解消される。
また、このような実店舗では、顧客が商品にどのような反応をするか、ブランドに対する認識の少ない顧客が何を望んでいるかなどを、D2Cブランドが顧客と対面でインタラクティブにコミュニケーションすることにより確認できる場所ともなっている。
女性下着のEコマースで有名になったThirdLoveも、ブランドと直接コミュニケーションをとりたいと言う顧客の声を反映させ、ニューヨークにコンセプトストアを開くことを発表している。
インフルエンサーマーケティングのActivateによる2018年10月の調査では、次のようにFabletics (スポーツアパレル)やWarby Parker (眼鏡)など複数のD2Cブランドが昨年世界中に出店または出店予定を発表し、Allbirds (靴)、Casper (マットレス)、Burrow (家具)など他のブランドも続き、この数字は今年大幅に増加している。
D2Cブランドが開店済み、もしくは2018年に開店を発表している店舗数
– Fabletics (スポーツアパレル) 75
– UNTUCKit (アパレル) 50
– Warby Parker (眼鏡) 36
– Indochino (男性用アパレル) 17
– Outdoor Voices (スポーツアパレル) 7
(Activate Inc. “Tech & Mobile Outlook 2019”より)
実店舗の展開にあたり、狭いスペースを利用したポップアップストア、デパートやモールなど大手小売業者との提携、独自の旗艦店の展開などがある。
特に、より小さな設置面積での店舗は実店舗を展開する前のテストとしても有用で、短期リースで小規模スペースを提供する不動産業者もでてきている。