もうすぐ11月。
月末にはサンクスギビング祝日、ブラックフライデー、サイバーマンデーといったイベントが続き、クリスマスまでの間、小売業にとって年間でもっとも忙しい時期となる。
このホリデーシーズンのショッピング動向に関する調査レポートが、Shopkickから発表されている。
ちなみに、Shopkickは、商品のスキャンによるポイント獲得などにより実店舗へのトラフィック誘導を図るアプリを提供している。
この調査は夏にアメリカの消費者約3万人を対象に実施したもので、調査レポートによると、今年のホリデーシーズンでは、全体の67.4パーセントが昨年同様の金額を使うと予想。
昨年より支出を増やすだろうと考えている消費者は17.8パーセントで、その内訳として、より大きな予算 (35.6パーセント)、より多くの人々のために購入 (45パーセント)、より高品質のギフト (19.3パーセント)を購入するといった内容で、昨年より支出を増加させる予定という。
昨年の各イベントにおける消費者一人あたりの平均購入額は次のグラフのとおりで、今年のホリデーシーズンも昨年同様に一人あたり1,000ドルを超える支出になるであろう。
年間を通じてホリデーシーズンが小売企業にとって最も売上が期待できる時期なのは確かだが、以前のコラムでご紹介したことのある、夏のイベント”Back to College”や”Back to School”での消費者支出もホリデーシーズンに次ぐ大きさとなっている。
ところで、この調査レポートでは、ホリデーシーズンに関する予測と小売業の対応が中心だが、シーズン以外でも小売業にとって参考になるものも多い。ここでは、特に次の3点をピックアップしてご紹介したい。
1. FOMOによるポップアップ店舗の増加
Pokemon GoやSelfie Factoriesなどの普及の背景とも考えられるものの一つとして、FOMO (Fear of Missing Out)がある。
FOMO、”見逃すことに対する恐怖”は、消費者の購入意欲を駆動する手段ともなっており、その購入動機を与えるものの一つとしてポップアップ店舗がある。
ショッピングモールやデパートなどの通路や空きスペース、空きビルなどを利用したポップアップ店舗は、短期間という期間限定で実験的なショッピング体験を提供することにより、消費者の購入意欲を駆り立てる。
企業側からすると、いかにそのポップアップ店舗へのトラフィックを増やすかの対策が必要となる。
2. Eコマースと実店舗
Eコマースでの購入理由として、便利さや低価格などがある。
一方、実店舗では、より良いインスピレーションやギフトアイデア、容易な商品比較などがある。
また、Eコマースと実店舗での価格差から、実店舗での購入時でもスマートフォンを使用した価格
比較を行う消費者も多い。
このような背景から、実店舗では、消費者との単なる取引と考えるのではなく、魅力的な店内ディスプレイ、ショッピングの意思決定に役立つ創造的なギフトアイデアの提供などに努力する必要があるとも考えられる。
3. BOPIS (Buy Online, Pick up in Store)
オンラインで購入し、店舗で商品を受け取るBOPIS (Click and Collectとも言う)は、オンラインの利便性と商品受取の迅速さを兼ね備えた注目されているシステムである。
実際にBOPISを提供している小売は全体の約27.5パーセントにすぎないが、前年に比べて47パーセント増と着実に普及している。
BOPISでは、実店舗に来た消費者の85パーセントが追加での購入を行なっており、小売側としても今後注力すべき分野と言える。
企業にとっては、BOPISの広告を増やすことに加え、BOPIS専用の駐車場や対面での顧客サービスの向上による顧客満足度の向上、無料のギフト包装や低価格の包装用品など付加価値の提供なども必要となる。
やはり、Eコマースと実店舗によるオムニチャネルでの顧客体験の提供が、さらに重要となっていくであろう。