中国とインドでは、クレジットカードの代わりに
モバイル決済を利用するミドルクラスの消費者が爆発的に増加し、
アジアのみならず世界におけるモバイル決済の牽引者となっている。
NFCを利用した近接モバイル決済 (proximity mobile payment)ユーザーの
3分の2以上が中国とインドで、
世界中のモバイル決済アプリの使用割合は、
この2国を除外すると36.0パーセントから16.6パーセントへと大幅に低下する。
下グラフは、eMarketerが2018年10月に発表した、
2017年から2022年におけるアジアの国ごとにおけるモバイル決済ユーザー数と、
スマートフォンユーザー全体に占める割合を表したものであり、
いかに中国とインドのモバイル決済ユーザーが多いか一目でわかる。
スマートフォンユーザー全体に占める割合では、韓国が中国に次いで2番目となっている。
アメリカやヨーロッパ各国におけるモバイル決済は、
Apple、Google、Samsungなどの競合により分断されている状態と言え、
そのため小売業者は各モバイル決済に対応したPOSの準備が必要となる。
CNETが昨年の6月にサンフランシスコの各店舗で3社の利用可能状況を調べた結果によると、
Samsung Payの利用可能度が一番高かった。
ApplePayとGoogle PayがNFCのみサポートするのに対し、
Samsung PayはNFCに加えて磁気カードリーダーもサポートしているところから、
NFCに対応していないPOSでも利用可能であった点が大きいようである。
欧米のこのような状況と異なり、中国ではAlipayやWeChat有料機能がQRコードを提供し、
モバイル決済の利用を可能とする小売業をサポートしている。
2019年には、中国の人口のほぼ半分がモバイル決済を利用すると予想されている。
中国の圧倒的なユーザー数に対し、インドはユーザー数の増加率が高い。
インド政府による2016年11月の高額ルピー紙幣の廃止による紙幣流通額の減少後、
インドの消費者はPaytm Walletの採用を急速に進めた。
Paytm Walletも中国のAlipayやWeChat有料機能同様、QRコードを提供しており、
小売業者の広いサポートをもたらしている。
インドでは、スマートフォンユーザーにおけるモバイル決済の利用者が、
2016年の16.5パーセントから2019年には32.9パーセントへと倍増すると予測されている。