ファーストフードなどにおけるキャッシュレス化のご紹介をしたことがあるが、
その傾向が徐々にとはいえ小売業にも浸透してきている。
アパレルのBonobosやEverlane、レストランのSweetgreenや
Tender Greens (左写真)などはその先駆けともいえ、店舗で現金での決済ができない。
また、飲料の自動販売機でも現金で買えないもの(右写真)もでてきている。
安全性や効率の観点から現金を扱わないことは、店舗にとってメリットが大きいが、
キャッシュレス決済への傾向は
銀行口座を持たない層への差別であると捉える向きもあり、
フィラデルフィアやワシントンDCのように、
キャッシュレス決済を禁止する法律の制定に動いている都市もある。
18歳以上のアメリカのインターネットユーザーを対象とした最近の調査発表によると、
回答者の
– 28パーセントは現金で支払うことを好む
– 60パーセントは現金が誰にとっても最も利用可能な支払い方法である
– 90パーセントは小切手または普通預金口座を持たない人にとって現金は不可欠である
– 64パーセントは現金を持っていないと心配である
と回答しており、
現金決済の必要性はまだ根強いとも言える。
(北アメリカを中心に10ヶ国で23万台のATMの運用、管理を行うCardtronicsによる調査より)
決済方法は、決済額やその時の環境等によって異なるのが一般的と思える。
10ドルから20ドルといった小口の決済では現金が優先される可能性が高いだろう。
また、次の表にあるとおり、ファーストフードレストランや
コンビニエンスストアなどでは現金が、カジュアルレストラン、グローサリーストア、
量販店などではデビットカードが最も多く使われている。
(出典: Cardtronics “2018 Health of Cash”)
デジタル決済はアメリカの多くの消費者にはまだ浸透していないようであるが、
特に若い世代を中心に増加傾向にある。
Cardtronicsの調査では、デジタル決済の利用は全体が29パーセントであるのに対し、
ミレニアルズ世代(1981年から1996年生まれ)では45パーセントが
デジタル決済を行ったと回答している。
ただし、このミレニアルズ世代の現金使用率は全体平均とほぼ同じであることから、
ミレニアルズ世代といえどもApplePayやAndroid Payなどの利用は増えても、
決して現金決済が減っているわけではなさそうである。
アメリカのスマートフォンユーザーを対象とした
2018年5月のBank of Americaの調査によると、
19パーセントは現金を使わずに1年間過ごすことができると考えているらしい。
また、58パーセントは今後キャッシュレスな社会が不可欠になるであろうと考えており、
18パーセントは紙幣が5年以内に消滅するだろうと思っているようである。
個人的な意見を言うと、現金で支払った際に
おつりでどんどんたまっていくコインの数とその利用を考えると、
キャッシュレス決済はそれなりに便利であるとは思う。