構造設計は、絞りこんだユーザーモデルに使いやすくするにはどうしたらいいか、と都度考えていく必要があるため、とても難しい部分です。そのサイトによってベストな構造は違ってきます。
そこで、今回は
・欲しいものが明確に決まっているユーザー(ウォンツ)
と
・欲しいものが明確に決まっていないユーザー(ニーズ)
を想定した時に、着目してほしいポイントをご紹介します。
———【欲しいものが明確に決まっているユーザー(ウォンツ)】———
欲しいものが明確に決まっているウォンツとは、例えば
・カメラが欲しい。メーカーや型番まで絞り込んでいる。あとは価格と納期で比較するだけ。
というようなユーザーです。
型番商品やブランド品や本を扱っているサイトに多いユーザーです。
こうしたユーザーは、欲しいものが明確なので早く目的へたどりつきたいという欲求が強いでしょう。
サイトでは、それを支援するための構造が重要です。
最も代表的な例としてはアマゾンです。
アマゾンはそうしたユーザーを把握しているので、トップページに「サイト内検索」を最も優先順位高く掲載しています。
左下の小さなカテゴリーリンクを見ても、カテゴリーをたどって探すユーザーの優先順位が低いことがうかがえます。
このように、ウォンツユーザーの多いサイトでは「サイト内検索」や「メガメニュー」など、早く目的へたどりつける導線を重視する必要があります。
———【欲しいものが明確に決まっていないユーザー(ニーズ)】———
欲しいものが明確に決まっていないニーズとは、例えば
・お歳暮を贈りたい。でも何を贈っていいかはまだ決まっていない。これから比較検討する。
というようなユーザーです。
アパレルやフード、雑貨やインテリアを扱うサイトに多いユーザーです。
このようなユーザーは、最初は広い範囲から入り、比較検討をしながらだんだんと範囲を絞り込んでいき、欲しいものを明確にしていくでしょう。
(ここでようやくウォンツになります。)
多くのユーザーは欲しいものがまだ明確に絞られていないニーズです。
これらのユーザーに重要なことは、サイト内で意欲を引き上げるための「コンテンツ」とそのコンテンツを的確に見せるための「構造」です。
しかし、ユーザーがどんな順番で何を見るかというのはコントロールできるものではありません。
(無理にコントロールするのもあまりおすすめしません。)
ユーザー自らが回遊をしながら選択を繰り返し、目的を絞りこんでいけるよう支援していきましょう。
そのためには、まるでビルやデパートの様な立体空間を回遊しているかのように、サイトを立体認識させることが必要です。
————–【サイトを立体認識させる】————–
構造分類で表すなら「階層型」「ツリー型」を基本にしたものです。
この特徴は、現在地が把握しやすい、また、他に何があるのかも把握しやすいことです。
そのようなサイトならどこに着地しても目的のところへたどりつきやすくなります。
例えば家電屋さんにノートパソコンを買いに行った時をイメージしてみてください。
(1)入口で全体案内を見る。
「ノートパソコンはどこで扱っているのだろう。」
「そうか、2Fに行けばいいのか。」
(2)2Fでフロア案内を見る。
「どっちに向かえばいいのだろう。」
「そうか西がノートパソコンか。マウスは東に行けばいいのか。」
(3)2F、西フロアで吊り下げ看板を見る
「メーカー別に看板が掲げてあるので検討がしやすいな。」
というように大きな粒から小さな粒へと順を追って動くのではないでしょうか。
このようにスムーズに動けるのは、その時その時で適切な分類を掲げてもらえるからです。
サイトも似たように考えられます。
特にサイトはお店と違って迷った時に店員さんに聞くことができませんので、構造がユーザーを支えなければなりません。
まずは全体像が把握できるグローバルナビゲーション、
そして大きな粒(大カテゴリ)から小さな粒(小カテゴリ)へと絞り込みながら目的のところへたどりつけるような構造がニーズユーザーを助けます。
また、どこまで絞りこんでいるのかという段階の違いもあるでしょう。
先程の家電屋さんを例に考えると、PCまでしか絞り込んでいない人とノートPCまで絞り込んでいる人とでは、段階に差があります。
絞り込み段階に沿って適切な分類をきると、どの段階のユーザーも迷わせることなく目的のところへたどりつかせることができます。
EC事例なのでとても単純に見えるかもしれませんが、EC以外でも同様です。
多くのユーザーはニーズユーザーであり、比較検討をするために回遊します。
回遊をするためには、その建物の中をある程度把握できなければなりません。
こうした段階や分類を作らず、多くの選択肢を一気に並べ平面的なサイトにした場合、最初はどこかへうまく着地するかもしれません。しかし、そこから立体空間を捉え回遊をすることは困難でしょう。
「自分達のサイトにはこんなページがあります。」
と、そのページを探すのだけど、どこをクリックしても一向に見当たらない。
そんな経験はありませんか?(私はあります・・)
それはやはり構造や分類が適切ではない可能性がありますので、改めて見直す必要がありますよね。
それと、こうして段階を踏ませることで、「そういう分類があるのか」「他にこんなものがあるのか」というように、ユーザーが学習し、知識を得て、意欲を高めるということにもつながります。
————–【最後に】————–
どこまで絞り込んで分類を見せるかというのは、そのサイトのユーザーや商品・サービスの特徴によって変わってくるでしょう。
そこは、アクセスログやユーザーの声などを把握してから判断していきましょう。
また、どの段階をホームポジションにする人が多いのかで、ページ内でローカルナビをどこまで見せるかなども変わってくると思います。そこも同様に分析の上、ワイヤーフレームの段階で検討しても良いと思います。
今回は、「ウォンツ」と「ニーズ」でユーザーシナリオが変わることを踏まえて構造設計を考えることが大切だということをお伝えしました。
次回は、絞り込んだユーザーモデルに必要なコンテンツを見せていくにはどう考えていったらいいのかという視点で書きたいと思っています。(できれば・・・頑張ります。汗)
2015年も残りわずかですね。
皆さん、素敵なクリスマスと年明けをお過ごしください。
来年もよろしくお願いします!