ちょっと寒くなるだけで、日本酒が恋しくなるJECCICAの川連一豊です。
夏の冷酒も美味しいけど、冬はまた格別です。
●仕事の箱の問題点・課題点
さて、組織を作っていく場合には、必ずと言っていいほど部署長を置いて
その下に部下を配置していきます。
社長の下に、部長、課長、スタッフとか、
店長の下に、CS部、デザイン制作部、物流配送部、商品企画部とかですね。
組織論からすれば、必要な業務に添った「仕事の箱」を作って、
それぞれの箱に人を充てていきます。
それぞれの責任者を決めておけば、トップの下にそれぞれの責任者がいて、
責任者の下にスタッフが居るようになります。
ここで課題点・問題点があります。
まず、それぞれの「仕事の箱」に何人必要で、責任者は1人でいいのか、
2名、3名の複数体制でやるのか、どのように人数を充てていくのか?
それともう一つは、能力のあった人を雇えるかです。
大手企業であれば、優秀な人を採用するチャンスもあると思いますが、
中小零細企業やベンチャー企業はなかなか優秀な人を採用することが出来ません。
そのチャンスすら無いと言っていいでしょう。
大卒の新卒採用なんてかなり無理があります。
となると中途採用で雇うか畑違いの方などをなんとか教育しながら、
仕事ができるようにしていかなければなりません。
品質保証体制をしっかり組むのであれば、やはり教育訓練実施計画表を作成して、
教育指導を計画的に実行し、効果を確認していく必要があります。
大手企業だと人材育成を人事部が受け持つことが出来ますが、
中小零細企業で人事部なんてめったにありませんから、
誰が育てるかというと、その部署長が人材を育てることになります。
●「なんでこの後輩はこんなに仕事ができないのだ・・・。」
高校生の新卒で話をしてみましょう。
高卒の新卒を採用して、その新卒が1年経つと、
次の新年度に新たな高卒の新卒が入ってくると、最初に入った新卒は先輩になります。
仕事を始めて1年経ったら後輩ができるのです。
「やったー!俺にも後輩ができるんだ!」などと当然張り切って後輩に仕事を教えようとします。
ところが大概の場合、悩みに悩んで
「なんでこの後輩はこんなに仕事ができないのだ・・・。」と思ってしまいます。
まあきっと、後輩は「なんでこの先輩は、教え方がひどいのだ・・・。」と思っています。笑
実は、毎年同じことが繰り返されてるだけなんですけどね・・・。
この時に、できる人材は「どうすればうまく後輩を育てることができるのか?」とか
「どういう本を読めばいいですか?」などと相談に来る場合があります。
たいていの場合には、相談に来る人のほうが伸びますね。
そうこうしていると、非常にうまく後輩を育てることができる人材が出てきます。
一方、仕事が抜群にデキる人も出てきます。
この時、どちらを責任者にすべきか悩みます。仕事優先なのか、人材育成優先なのかです。
私の答えとしては、組織上、上に行けば行くほど人材育成を重要視したほうがうまく行きます。
●人材は「仕事の箱」に収まらない
部署長として、人材育成をしなければならない。仕事もきっちり行う必要がある。
もちろん、その上の上司であっても同じです。しかしながら、これがなかなか上手く行かない。
最初に紹介した「仕事の箱」を用意して、そこに人を入れる。
箱の責任者を決める。
これで本当にうまく仕事が回るのか?・・・いえ、そんなことはないのです。
中小零細企業なら当然うまく行きません。
人である以上、人材ですから、箱のなかに収めようとしても、
なかなか箱には収まらず、はみ出てくる人が出てきます。
人材はロボットではないのですから、箱に収めようとすることに無理があります。
実はこういった箱からはみ出す人の方が、仕事ができることが多いのです。
こういったことは中小零細企業やベンチャーにはありがちな話です。
中小零細企業やベンチャーにおいては、
仕事の箱を作ったら、適材適所で人材を充てはめながら、
その人材がどういう人材で、何が得意なのか、
不得意なのかを部署長は見極めておく必要があります。
多少、箱をはみ出るぐらいの勢いが必要ですから、多少のことは目をつぶりましょう。
事業を行っている企業であれば、成長していようが止まっていようが、
組織を柔軟にしておいたほうが無難です。
固まると事業スピードがスローになってしまい、本当に事業が止まってしまいます。
そういう意味でも、本来はある程度のローテーションはできるようにしておいたほうがいいでしょう。
特に仕事を抱え込む特性のある方には要注意で、仕事を止めるのが得意技になってきます。
●「そろそろ右腕を作ったほうがいい」?
さて、ある程度、事業がうまく行きだすと周りの方から、
「そろそろ右腕を作ったほうがいい。」と言うとんでもないアドバイスをしてくる方が現れます。
これは社長だけでなく、部署長にも当てはまります。
分かりやすく言うと、営業がうまい社長の例で言えば、
「社長が外にいる間、中で管理できる右腕がいれば安心」とか、
開発が得意な社長の場合には
「社長が開発した商品をお客様に販売する強力な営業の右腕が必要」などと言ってくるのです。
どこかの本で読んだのか、そのような研修があったのか分かりませんが、
そのように勧める方がいます。
しかし、これは絶対にやってはいけません。
なぜなら、このような右腕は、上司と部下の間に入って情報操作をしてきます。
気づいたら横領していたとか、部下を巻き込んで大量退職して同じような会社を作ったりします。
十分、気をつけましょう。
「歴史上で、うまく行った例があるでしょう!」と言ってくる方もいます。
スティーブ・ジョブズにも、本田宗一郎にも、右腕がいたからあんなに上手く行ったと。
いえいえ、そんなことはないのです。優秀な人材がたくさんいたからうまく行ったのです。
私の周りでうまく行っている会社やEC企業を見ると、
トップの周りに右腕と呼ばれる人がいません。
周りの人全員が重要な人材になっています。
ある上場した会社の経営者が言っていました。
「右腕はぜったいに作らない。作るとその人に人が寄って、派閥ができ始める。」
まさにこの通りです。
これは小さくても大きくても同じです。
会社規模だけではなく、1部署でも同じです。
最初の課題にあった、「それぞれの箱に何人必要で、責任者は1人でいいのか、
2名、3名の複数体制でやるのか人数をどう充ててるのか?」の答えは、
人材を1人育てることができた人材なら、まずは5人まで増やします。
それが出来たら少しずつ増やして10名まで部下を増やします。
この時、右腕を作らないように指示をしておきます。
ですので最初の段階で仕事の箱に10名必要な場合には、
そこの人材でチームを組むようにしていく必要があります。
3名チームが2つと4名チームがひとつ。こんなイメージです。
重要な事は、一人のお客様を振り向かせることが出来なければ、
たくさんのお客様を振り向かせることが出来ないのと同じで、
1人を育てることが出来なければ、複数の人材を育てることは出来ないのです。
あるスタッフが、スタッフ1人を育てることが出来そうな感じを掴んだら、
出来る限り早めにもう一人を充てます。
これで3人体制にすることができます。
そして組織上は、部署長の右腕が出来ないように、
どちらかに偏るのではなく俯瞰の立場で組織を注意深く見つめてみるといいでしょう。
●最後にまとめ
人は、人材です。箱に収めようと思っても収まりません。
定量と定性のバランスを持って見守ってあげることが大事です。
人を見るときも同様、スタッフ全員同じバランスで公平に中立的に、
しかも好意を持って見る目を上司は持つことを求められます。
はい、今回はここまで。
お読みいただいてありがとうございました。
ところで・・・
うちは、しっかりした右腕がいるから楽ちんだよ・・・なんて思っているあなた。
そんなふうに思っていると足元すくわれますよ。笑