————–【段階的な見積り】————–
例えば、「新規サイト制作」「サイトリニューアル」の場合、やることも多く期間も長くなります。
短いもので3~4ヶ月、長いものは1年以上かかるものもあるでしょう。
そして長期プロジェクトほど、予期せぬ事態やトラブルを抱えるリスクが高いです。
・途中でやるべきことが増えた
・手戻り、やり直しが発生した
・人が辞めてスケジュールが狂った
・納期の明確な線引きができない
などなど。
大抵は初期見積もりより実態のコストが上回ることが多いのではないでしょうか。
初期段階で全体の明確な工数やコストを洗い出すのは難しいのですよね。
そのため、見積りは段階的に行うことをおすすめします。
・調査分析フェーズでの見積り
・企画フェーズでの見積り
・コンテンツ企画・制作フェーズでの見積り
・ワイヤー、デザイン、コーディングフェーズでの見積り
というように、全体ワークフローをフェーズ毎に切り分けてお見積りします。
こうすることで、見積りと実態の差を縮めるだけではなく、
短い期間でのゴール設定が、各自のモチベーションを維持することにもつながります。
また、フェーズ毎に毎回クライアントと顔を合わせ、状況を共有する必要がでてきますのでそれも良い機会です。
全任せではなく一緒に進めていこうという意識の高めあいもできます。
何より、細かい刻みでの信頼を積み重ねていくことで、この後もここにお願いして大丈夫だという確かな信頼にもつながっていくのではないでしょうか。
勿論そのためには、「これは成果につながる取り組みになりそうだ」とクライアントにわくわくと期待を持ってもらったり、実際に成果を出す必要がありますよね。
そのためにより上層に関わろうとする意識を大切にして欲しいと思います。
(成果を上げるための仮説を考えるもご参考下さい。)
————–【一式見積りをしない】————–
段階的な見積りをすると、該当フェーズの見積もりをより細かく具体的に計算することができます。
時々
・デザイン一式 XX万
・コーディング一式 XX万
というような一式見積りを見かけることがありますが、これは大きな誤差を招きやすいように思います。
特に、ページ単価を「1ページいくら」と統一し、大体XXページだからXX倍してこれくらいの費用がかかる、という見積り方です。
ページには、読み物系でコンテンツが多いページや、デザインやレイアウトが複雑なものもあれば、タイトル看板1つ差し替えるだけの流し込みページもあります。
面倒ですが、それらをできるだけ切り分けて計算しましょう。
例えばページに「ランク」を付ける方法です。
・Aランクページ単価:XXXXX円 3ページ
・Bランクページ単価:XXXX円 10ページ
・Cランクページ単価:XXXX円 50ページ
というような感じです。
「サイトマップ」や「全ページリスト」が固まれば、それにページランクを付与してこの見積りを行うことができるでしょう。
コンテンツについても考え方は一緒です。
予め、どんなコンテンツが必要になるのかをリストアップします。
それらのコンテンツが
・既存コンテンツで賄えるのか、新たにコンテンツ制作が必要になるのか
・表現するためにどんなイラストや写真、動画が必要になりそうか
を具体的にイメージし、予算を割り当てておきます。
「予算が足らないからできない」もしくは「追加予算をお願いしなくては・・」
というディレクターならではのストレスやジレンマを軽減することにもつながるかもしれません。
「その時間が避けなくて・・」そう思う方もいるかもしれません。
しかし、この手間は後で狂った工数に泣くことを考えたら、とてもとても価値ある工数だと思います。
勿論、あくまで「見積り」なので、正確な予算を提示することはできません。
それでも、ここは手間がかかりそう、ここはスムーズにいけそう、という山と谷をある程度見極めておくだけで、誤差を減らし信憑性を上げるていくことができます。
そして
・クライアントを納得、安心させること
・私たち自身、お金に対する責任感を持つこと
にも貢献してくれることでしょう。
————–成果につながるお見積りを————–
見積りを提示・交渉する時ほど気をもむ時間はありませんよね。
クライアントは安い方が喜ぶ、私たちもできれば安くしたい。
しかし成果を上げるために必要なことをやろうとしたら、必要なコストが発生する。
逆に、コストを削ってやるべきことをやらなければ、成果につながらない。
成果を重視しますか?コスト削減を重視しますか?
必要なのは、
無駄なことを省いてコスト削減し、コストを上回る成果を還元することに注力する
ことだと思っています。
「利益を得るということは、クライアントのお財布から自分達のお財布にお金を移すことではなく、
クライアントのお財布のお金を増やしてその一部を受け取ることだ」
と教わってきました。
例えば、このような場合。
~このシーン写真は重要な部分だからきちんと撮影したい~
~でもプロカメラマンにお願いするとコストがかかるから、素人撮影で頑張ってみよう~
一見とても良い提案のようですが、問いかけなくてはならないのは、それで本当に成果が出せるのか、ということです。
このシーンをしっかり伝えることが成果に大きな影響を及ぼすのだとしたら、しっかり考えなくてはなりません。
プロカメラマンに依頼して素人の倍の費用がかかったとしても、それ以上に成果が出てくれた方がクライアントにとってはメリットがあるのです。
言いかえると、素人撮影で成果が半減してしまう方が、撮影費のコスト削減よりもクライアントにとって打撃が大きいのです。
何にコストをかけて、何をいらない作業だと切り捨てるのか
それを見極めて説得力のあるお見積書を作っていきましょう。
やるべきことは全て「成果につなげるための仕事」であり「こなすタスク」ではないのですよね。
見積りの考え方について、こちらもご参考下さい。
【見積りと哲学】
http://www.webconsultant.jp/seminar/post-41.html