ロボットと人間。この2つの言葉を考えた時に、それぞれの間にどのようなつながりをイメージするでしょうか。多くの人が、両替に「やじるし」のついた線を引くのではないでしょうか。つまりは、対極を成す2つの概念である、という認識です。
ロボットは角張っていて、意地悪く、時に冷淡で、強い。一方で、人間は丸さがあり、情があり(人情という言葉があるくらいですし)、弱い生き物。そんな感覚でしょうか。
私にも、このような見方をする傾向があります─いや、正確には、そんな傾向が過去にはありました。今は違います。幼い頃から、なんとなく、ロボットは、人間とは反対側に位置づけられる存在だと信じていました。アニメの影響かもしれません。
そして今、私はロボットを「人間に非常に近い存在」だと思っています。ロボットは仕事をすることで、物事を解決・改善しています。人間もそうではないでしょうか。人間も、問題発見と解決を繰り返すことで、人類としての進化を遂げてきました。
火を使い、電気を駆使し、道具という武器をフル活用することで、ヒトは加速度的に成長を続けています。そして今、<時間>という問題に直面しました。問題は山ほどある。でも、それを解決するための時間が足りない。足りないというのは「自分が生存している間に、より多くの問題を解決したい」という意識の言い換えかもしれんが。
何はともあれ、時間という制約を今まで以上に意識する中で、私たち人間は、効率化を突き詰めます。その結果がロボットです。ロボットは、そのような意味で、人間の分身なのです。簡単に言えば「自分がもう一人いたら」という妄想の体現ではないでしょうか。
だからこそ、人間とロボットは似通っています。人間を真似て創造されている以上、ロボットが人間と対極を成すことはあり得ないと、私は思っています。どのような形状で、どのような機構で、どんな役割を持たせ...と思考する中で、アイデアの材料として使用されるのは、否応なく、人間としての常識なのですから。
そこから離れた何かを想像しようとしても、頭には浮かびません。極端な話、人間はそれ単体では、一つも新規アイデアは生み出せないと思っています。全ては、外部の世界からのインプットのこねくり回しです。組み合わせ、切り取り、視点を変え。これの繰り返しに過ぎません。このような理由で、私はヒトとロボットを隣り合った仲間だと思っています。

